前回の記事でサステナブルファッションやコットンの毛糸について書きました。
コットン栽培の悲しい現実にも少しふれました。
ウールは?
セーターの代表的な素材はウールです。
伝統のセーターもウールが原料となっていて、長く愛されて着用されてきました。
ウールはサステナブルな素材なの?
何事も100%は存在しないですね。
ウール素材なら必ずサステナブルな素材だとは言えないようです。
ウールの毛糸で手編みしたセーターを
「長く愛用」
「毛糸を再利用」
すれば、充分サステナブルな素材です。
世の中の大きな問題に関心は持ちつつ、
のんびりと、肩に力を入れないで、「着て出かけちゃおっかなぁ💕」って思えるセーターを編みたいです!!
ウールは100%天然素材だからサステナブルな素材?
ウールの毛糸は主に羊さんの毛から出来ています。
主成分はケラチン。
たんぱく質の一種です。
アミノ酸がペプチド結合したものです。
生分解可能です。
ウールの利点
人類が文明を持ち始めるころから、羊の毛は愛されてきました。
- 肌触りが柔らかい。
- を含み、撥水性があって、濡れても保温性がある。また汚れが付着してもブラッシング等で除去しやすい。このため野外での着用に適する。
- 多くの空気を含むため断熱性が高く、通気性がありながら防寒性と保温性が高い。このため冬服や寝具(毛布)に適する。
- しわになりにくい。
- 移った臭いを放散しやすいので、風にさらすことなどで脱臭できる。
- 他の繊維よりは燃えにくい。火にさらされると焦げるが、燃え上がらない。
引用ウィキペディア
ウール – Wikipedia
これらの特徴により、伝統的な漁師のセーターの原料としても愛されてきました。
- 紫外線を吸収し日光から肌を守る。
- 繊維が伸縮するので運動時にも適する。
参照元:ウールマーク
https://www.woolmark.jp/fibre/
羊の毛以外の動物繊維
手編みのセーターの原材料としては、羊さんのウールのほかに下記の動物さんの毛があります。
- モヘヤ⇐アンゴラヤギ(アンゴラウサギ)
- アンゴラ⇐アンゴラウサギ(アンゴラヤギ)
- カシミヤ⇐カシミヤヤギ
- アルパカ⇐アルパカ
これらは高級品で、当然値段も高いです。
その特徴は・・・
- フワフワ
- つややか
- 毛足が長い
- 柔らかい
- 暖かい
- 肌触りが良い
- チクチクしない
マフラー等首回りの肌に直接あたるものに特におすすめです!
セーターの素材としては上級者向けです。
その理由は・・・
- 編みにくい
- 間違えてもほどきにくい
そして、かぎ針よりも棒針のほうが良さが出やすいです。
5つの編力が揃ったら、じっくりと心を落ち着けて味わいながら編む毛糸です。
羊さんたちの生活のイメージ
- 太陽が出ると広大な草原に出かける
- 一日中のんびりと草を食み、元気に遊ぶ
- 夕方には牧羊犬と追われ小屋に戻る
- 肉食獣から守られて安心して夜を過ごす
- 夏前にはモコモコの毛を刈り取る
羊さんには嫌がるかもしれないけど、羊毛種の羊には必要なこと。
シャンプーが嫌いな犬にもシャンプーが必要なように・・・。
間違っているわけではないです。
人とともに暮らす幸せそうな羊は世界中にたくさんいます。
そうじゃない羊もたくさんいるようです。
「羊群の 最後はすすき 持つ少年」
プレバトでフジモンさんが読まれた句です。
私は大好きで心に残る句ですが、この句を
穏やかなすがすがしいイメージのままにしておきたい方はこの先は読まない方が良い
です。
ウールの抱える問題は動物福祉
羊牧の歴史はとても長く、その中で品種改良されてきました。
そして、より衣類に向く毛を、より多量に持つメリノ種が生まれました。
- 細くて縮れたフワフワの毛
- 毛刈りをしないと伸び続ける
- 皮膚面積が多い(しわしわの皮膚)
この特徴には負の面がありました。
- お尻まわりが不潔になり、病気にかかりやすい。
- 病気のリスクを下げるため「ミュールジング」という痛々しい技法がある
- 毛と身体の区別がつきにくいので毛刈りで大けがをすることがある
ミュールジングについてウィキペディアより引用しますが、最初の一文から痛々しい内容です。
引用元のウィキペディアの内容はもっとツラく覚悟が必要な内容です。
ミュールシング (英語 mulesing) は、羊への蛆虫(クロバエ科のヒツジキンバエなどの幼虫)の寄生を防ぐため、子羊の臀部(陰部と表現されることもある)の皮膚と肉を切り取ること。
ミュールシング – Wikipedia
羊の福祉について、もっとも有名な取り組みにRMS認証があります。
ファッション業界でも世界的に取り組みが進んでおり、有名企業もたくさん取り入れています。
残念ながら、個人で気軽に買える毛糸となるとRWS認証を確認できるものは簡単には見つかりません。
Responsible wool standard(レスポンシブル ウール スタンダード)の略です。
責任あるウール基準などと訳されます。
- ミュールジングの禁止など、厳しい基準をクリアしていること
- 農場から製品までトレーザビリティ(追跡)が確保されていること
等を認証するものです。
ちなみにですが、
羊以外の動物については上記の理由があるので特筆しませんが、やはりそれぞれ抱える問題があるようです。
ウールマーク
個人で気軽に買えるウールの毛糸なら「ウールマーク」が一つの基準になります。
ウールマークがついている毛糸は幸せな羊さんからもらった毛糸。
とまでは言えないかもしれませんが、少なくとも改善についての取り組みは進んでいます。
羊さんの健康を守る技術の開発や、問題解決を牧羊業者さんだけに任せないの取り組みが行われています。
毛糸の帯に「ウールマーク」を確認できるものはたくさんあります✨
「ウールマーク」がついている毛糸なら、より幸せな羊さんと羊飼いさんを増やす活動に協力できます!!
そして、そもそも品質を保証するマークですのでウール素材として上質です。
ニッケさんの毛糸(日本毛織株式会社)
ウールマークは高い品質基準をクリアしたことを保証するマークですが、日本では日本毛織株式会社(ニッケ)さんが第1号です。
19世紀、合成繊維が開発されウールの人気が落ち始める
↓
ウールの人気復活のため、1964年(昭和39年)からウールマークによる品質管理が始まる
↓
その同じ年、ニッケさんが日本での使用認可第1号を取得
業界の先駆者的で、SDGsへの取り組みもわかりやすくまとめてあります。
https://www.nikke.co.jp/business/Lines_1/sdgs/pdf/sdgs_Lines_1.pdf
環境問題に限らず、CSR活動への取り組みがとても積極的で、ホームページへの記載も多い!!
取り組みが多すぎて、上手く説明できませんが、
現在の取り組み、未来への取り組み、が
「これぞサスティナブル!!」
って感動的ですらあります。
単純に、すごいです。
ニッケさんの毛糸、もともと大好きでしたが、もっと大好きになりました!!
ニッケさんの糸でかぎ針編みのセーターにおすすめの糸
5つの編力が弱めでも編める
・かぎ針編みで
・トップダウンで
編むセーターにおすすめなのは中細くらいの毛糸です。
↓この記事で編み方を説明しています↓
【セーターの編み方】売り物レベルを簡単に作る3つのコツ!マフラー編めれば編めます✨
この編み方に合いそうな、ニッケさんのウール100%の毛糸は下記の2つです。
おすすめ①ニッケビクター 中細 VT
昔からある定番の糸です。
シンプルな毛糸で、私は常にストックしています。
撚り(より)も均一で編みやすく、色や質感もきれいです。
出来上がったセーターはとても暖かくて、実際の重さよりも軽い着心地になります。
チクチク感は多少ありますので、ハイネックには向きません。
おすすめ②らみん
2020年~2021年の新商品です。
中細よりも少し太い合太で、かぎ針では4/0~5/0号ですが、色がきれいです。
私はまだ購入したことがなく、編地アップ画像・糸アップ画像からの判断になります。
撚り(より)は安定していそうですが、少し緩めです。
糸の拾い残しがないように気を付けて編む必要がありますが、その分やわらかな編地になりそうです。
この記事が一緒に編み物を楽しめる「力」と「愛」になれますように!
ツイッター始めてから「〇〇編みました!」って記事を目にすることが多くなりました。
みんな、上手いなぁ・・・。
40年以上も編んでいるのに「5つの編力」が弱めなワタクシ。
でも!
手編みのセーターの温かさを知っているので、サステナブルにエシカルに編み続けていきたいです。
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おまけ☆ウールの欠点について
ウィキペディアにはウールの欠点も載っていたので、こちらも引用しておきます。
- 洗うと縮む。クリーニングによってウールの油分が奪われることもある。
- 擦れたり、当て布を使わずにアイロンをかけると光ったりする。
- 虫やカビの害を受けやすい。
- 通気性が高い反面、防風性が低い
- 磨耗に弱い。
- 人によっては触るとチクチク感じる。
- アルカリに弱い。
- 日光で黄変する。
引用ウィキペディア
ウール – Wikipedia
だって、タンパク質だもん・・・
アミノ基とカルボキシル基がペプチド結合だもん・・・。
変性しやすいんです。
羊毛の主成分は「毛ケラチン」と言ってタンパク質の中でも変性には強い方です✨